2012年3月25日日曜日

高校生の就労支援~軽度の知的障がい等のある生徒の就労支援~

軽度の知的障がいのある生徒を対象とした、沖縄高等特別支援学校の今年の志願倍率は1.8倍でした。ここ数年の志願倍率は1.5倍前後で推移しており、軽度の知的障がいのある生徒の教育の受け皿の拡充が求められる中、県教育庁も平成24年度から始まる特別支援学校の編成整備計画の中で、軽度の知的障がいのある生徒を受け入れる新たな分校、分教室の設置を計画に盛り込んでいます。

先日、障害者就業・生活支援センターに勤める相談支援員との会話の中で、この相談支援員が高校の進路担当者から障がいのある高校生の就労支援について相談を受けたことを知りました。

県内の高校にも療育手帳を所持している生徒が在籍している可能性があります。また発達障がいの診断を受け、対人関係やコミュニケーションで日々苦戦している生徒も在籍しています。
学習や生活上の困難がある生徒の場合、日々の学校生活のなかでの学習や対人関係に対する支援や配慮と同時に、卒業後の進路にもその生徒の教育的ニーズに応じた支援が必要となります。

さて、特別支援学校では、高等部の3学年に進学すると卒業までに年に数回、2週間程度の産業現場等における実習を体験します。これは生徒にとってキャリア形成の大切なステップであると同時に、障がいのある生徒を雇用したいと考えている企業にとっては、生徒が就職に必要な能力を有しているか判断する機会となります。

実習を経て、就職が内定した場合は、トライアル雇用や職場適応訓練などと呼ばれる助成制度の活用と、障害者就業・生活支援センターと呼ばれる相談支援の機関などを紹介し、本人の職場適応を支える環境づくりを関係機関と進めていきます。

また、就職する力がまだ備わっていないという評価を受けて、卒業後直接就職には結びつかなかった場合にも、就労移行支援事業を行う福祉施設を紹介し、就職のための態度や技能を身につけ再チャレンジする道筋を作ります。

例えば、療育手帳をもっている高校生が、就職を希望しているのにもかかわらず、卒業までに就職のめどが立たない場合、あるいは発達障がいのある高校生が行動やコミュニケーションに課題があり就職するためには、その課題と折り合いをつける手立てが必要な場合、前述の就労移行支援事業は、高校卒業後の本人の就職をサポートする有効な手立てを提供してくれるでしょう。

高校生の進学、就職に対応するスキルをもつ高校の進路担当の教諭が、障がいのある生徒の就労支援についても一定のノウハウがあれば、軽度の知的障がいや発達障がいがある生徒の就職に大いに役立つと思います。

特別支援学校の進路担当教諭は、沖縄県特別支援学校進路指導研究会、通称「沖特進研」に定期的に参加し、研修と情報交換を行っています。これに高校の進路担当もしくは特別支援教育コーディネーターが参加し、就労支援が必要な生徒に対する対応について情報交換や研修を積んではどうかと思います。そうすれば障がいのある生徒はもとより、その保護者にとって、どれくらい心強いことかは言うに及びません。

平成19年に特殊教育から特別支援教育に転換し、障がいのある子どもの教育が場に限定されず、各々の教育的ニーズに応じて提供されることへ移行したことをからしても、高校と「沖特進研」との連携を考えてもいい時期なのではないかと思います。

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