2014年5月14日水曜日

まだまだ続く、高等学校等就学支援金制度の手続き

 現在、高校1年生の生徒が、高等学校等就学支援金制度によって、高等学校の授業料を無償にするには、あと一回手続きが必要です。しかし、4月の手続きから間もないため、家庭によっては、済んだものと誤解して、手続きをしないケースが出てこないか懸念されます。
また、高校生自身が、学校から渡された書類を、親に渡し忘れたり・・・。

 高等学校等就学支援金の申請手続きは未だ峠を越えていない状態です。関係者のもうひとがんばりが必要です。

 下記の文章は、福岡県高等学校人権・同和教育研究協議会が作成した資料です。保護者の戸惑いを解決する手助けになるのではないかと思い、掲載しました。

「高等学校等就学支援金制度の7月手続きについて」

1 就学支援金の申し込みは、4月の手続きで済んだのですね。

いいえ、7月にもう一度手続きをしなければなりません。

2 えっ? またするのですか。今度は何を出すんですか。

「4月手続き」で申し込みが認められた人は、次の2つを学校に出して下さい。
①届出書(これは、学校から配布される予定です。)
②保護者の所得割額を示す書類。

3 所得割額の書類は、4月に出していますよね。

「4月手続き」のものは、一昨年度の所得割額の書類です。
「7月手続き」では、昨年度の所得割額の書類がいります。

4 昨年度の所得割額の書類って?

今年の5,6月に役所から送られてくる「税額決定通知書・納税通知書」のことです。

5 それをどうしたらいいのですか?

それを学校に出して下さい。
ですから「税額決定通知書・納税通知書」はなくさないようにしてください。

6 収入のないところは、何もしないでいいでしょう?

いいえ、必ず収入がない(無収入)ということを、役所の窓口(納税課など)に申告をして下さい。そして「無収入」であるという証明書を出してもらい、それを高校に出して下さい。
(窓口や証明書の名称は、市町村によって違いますので、役所の「総合案内」でおたずね下さい。)

以上、福岡県高等学校人権・同和教育研究協議会資料より

子ども支援ネットワーク交流学習会戦略会議







平成26年5月11日(日曜日)に行われた戦略会議で話し合われたことの概略は以下のとおりです。

1 高等学校等就学支援金給付制度について

(1)経過

①高教組を通じた取り組み
  
  ・3月4日の事務担当説明会直前に交渉を持ち、確定申告の重要性を訴えた。

②戦略会議としての取り組み

  ・県教育庁教育支援課、義務教育課長あてに大牟田市の資料を郵送。

(2)今後の取り組み

①7月の申請に向けた取り組み

  ・6月頃に送付される納税通知書の保管の呼びかけ。
  ・7月の申請の意味を伝え、4月に終わったと保護者が誤解しないようにする。
  ・福岡県高同教通信「リップル」資料の周知

②来年度の新1年生、2年生に対する取り組み

  ・今年度の申請にかかる取り組みの中で各学校が工夫したこと、成果をあげたことを整理。
  ・小中学校および市町村教育委員会への福岡県同教作成資料の周知。

2 おきなわ子ども支援ガイドブックについて

(1)南部版 
 
  ・現在糸満市福祉課、市教育委員会の協力で糸満市の情報を入力中。
  ・今後、与那原町、八重瀬町、南風原町、豊見城市が協力予定。

(2)那覇市版

  ・子育て応援課の協力を得て、2013年度版の修正作業中。

(3)名護市版

  ・有志による名護市版作成の動き

3 子ども支援ネットワーク交流学習会の今後のあり方について

(1)子ども研究会について

  ・今年をもって発展的解消。
  ・この間、実績を積み、力をつけてきた団体との協議体としての活動を模索。

(2)九同協について

  ・事務局の引継ぎ、今後の沖縄での学習会については新しい事務局と取り組む。

4 次回の戦略会議

  ・6月22日午前9時、教育福祉会館

2014年5月1日木曜日

児童クラブの現状


 共働き世帯が多く、子どもたちが学校から帰っても親が帰宅していないケースが多く、さらに核家族率が高いために祖父母と同居という世帯が少ないという沖縄の子どもたちの放課後は、地域や社会が見守り、安心して過ごさせる必要がある。
 現在、小学校低学年の児童の放課後の居場所となっているのが、児童館や放課後児童クラブ、児童デイサービスなどである。異年齢の子どもたちが集い、遊び等を通して、心と体の育ちの場となっているこれらの施設の中で、特に放課後児童クラブ(以下、学童保育)の現状は厳しい。学童保育については、垣花氏の文章にあるように他府県と違って自治体による学童保育の支援が進んでいないために、利用料が高額になっている。そのしわ寄せが、経済的に困窮している世帯を直撃し、利用したくても、利用できない、親や子どもたちがいる。
 そろそろ、学童保育に対する公的支援に本腰をいれないと、子どもたちの育ちに待ったは効かない。

宮古島 1980年


2014年4月23日水曜日

子育て支援者に求められる姿勢

柏女 霊峰氏「公開セミナー実施録『自治体における子育て支援事業の推進』」より

 おきなわ子ども支援ガイドブックは、子どもを一人の大人のマンパワーで支えるのではなく、支援者が横に繋がって「面」で子どもを支えるために、将来ともに支援する仲間の居場所を教えてくれる「道案内」であって欲しい。
 当たり前だけれどガイドブック自体に子どもを支える力はない。あくまで、人を支えることができるのは人だ。出会いと気づきから生まれる関係だ。
 そして、あくまで主体は、支援される対象の子どもや家族。そのエンパワメントが目的であることを上の図は教えてくれている。
 その講師の名前が思い出せないけれど、ある講演会で、人は自ら選んだ地図によって迷う、と言っていた。当事者やその家族にとって、最善の、幸福に近づくための選択が困難になっている状況、他の選択肢に気づかずに進んでいる時に、立ち止まって一緒に考える人が必要だ。
 支える人には、経験を多く積んだベテランもいれば、初めての人もいるだろう。
ベテランの方が、いつもこんな事に気をつけている、といった経験知をガイドブックを手にした若い人にも伝えられたらと思う。子育て支援者のコンピテンシーについての資料や書籍をあさりだしたのは、そんな理由から。
 

宮古島 1980年

 


2014年4月13日日曜日

新1年生の保護者のみなさんに就学支援金制度を知っていただくために

 子ども支援ネットワーク交流学習会実行委員会では、大牟田市の資料を参考に、就学支援金制度を知ってもらうための資料と、役所での手続きをスムーズにするための資料を作成しました。
1回目の申請時期には間に合いませんでしたが、2回目の申請時期と、来年4月に新1年生になる高校生の保護者のみなさまに対して、提供できればと考えているところです。
下記の画像をクリックすると資料がダウンロードできます。

新しい制度についての資料
新しい制度について
役所で書類を請求するときに














2014年4月12日土曜日

高等学校等就学支援金給付制度、申請締め切り後の状況

 高等学校授業料無償化制度に代わって、今年4月に1年生になった高校生を対象にした授業料相当金額の給付を行う高等学校等就学支援金制度は、そのネーミングが誤解を招きやすく、さらに授業料が無償になるためには全ての生徒の保護者が申請書や市町村税課税額を証明する書類を提出しなければならないなどの手続きの煩雑さなどから、保護者と学校の混乱は続いてるようです。

 私たちが懸念していた「課税証明書が提出できない世帯」というのは、今のところないようです。
その要因として考えられるのは、那覇市や浦添市などでは今年3月の締め切りまでに確定申告を行っていない保護者に対しても、関係書類等により仮の課税証明書を発行するなどして便宜を図り、保護者の不利益にならないように対応したことです。

 しかし、学校にとっても保護者にとっても初めての手続きとあって、書類の記載に迷った保護者が多く、制度内容や記載について問い合わせが学校に殺到し、事務職員がその対応に忙殺されているそうです。電話は新1年生ばかりでなく2・3年生の保護者からも、自分たちも対象ではないかという誤解から「どうして教えてくれなかった。」などといった問い合わせがあり、その都度制度の説明を行なったそうです。

 今後のスケジュールは、条例で定められた4月15日の授業料納入締め切り日に向け、学校では授業料を負担する世帯に対し、授業料の徴収袋を配布しました。配布に当たっては、生徒への配慮から、徴収袋を直接渡さず、さらに袋に詰めて配布したところもあるそうです。
そして6~7月にかけて行われる2度目の申請時期が終わるまで、保護者の戸惑いと事務職員の多忙さは続きそうです。
糸満市 1980年


2014年4月5日土曜日

高等学校等就学支援金制度~申請書などの提出締め切り後について

 沖縄県内の多くの県立高等学校では、就学支援金のための書類の提出締め切りが4月7日の入学式となっています。このブログでも懸念している書類の未提出者がいないことを願うばかりですが、本来支援金の恩恵を受けるべき経済状況の世帯の未提出があった場合、どうすればよいのでしょうか。

1 利用可能な貸付

 今回懸念される世帯は、経済的に困窮してはいるものの、(1)生活保護を受けていない、または(2)就学援助を受けていなかった世帯と考えられます。
この世帯が、やむを得ない理由により課税証明書を提出できなかった場合、少なくとも4月から7月までの高校授業料29,700円を納付しなければなりません。
この負担に耐えることができない世帯の場合、公的な貸付の制度としては、まっさきに思いつくのは、「母子寡婦福祉資金」(※那覇市版ガイドブック30ページ)の貸付け制度です。ただし、これは母子世帯に限られますので、父子世帯等の場合は「生活福祉資金」(※那覇市版ガイドブック28ページ)が、修学資金の貸付けを無利子で行っています。今回のケースが貸付の対象となるか、また申請してから貸付を受けるまでの期間などの確認は行っていませんが、これらの貸付を利用して当面の授業料を納めることで、子どもが学業を続けられるようにしなければなりません。

2 2回目の提出に備えて
 
次に、就学支援金のための課税証明書の2回目の提出が7月にあります。
市町村では、6月2日以降、確定申告の受付を行うことができます。最後のチャンスとなりますので4月に課税証明書の発行ができなかった世帯の課税の申告について、その周知とともに必要な支援を行う必要があります。

3 親の所得格差の可視化への懸念

 さて、今回の支援金にかかる手続きでもう一つ懸念されるのが、学校現場で保護者の所得の格差が可視化されることです。世帯の収入が基準を超え、授業料を納めなければならない世帯の納付の方法について県は、現金による徴収を行うことになっています。つまり徴収袋で学費を納める生徒が出てきます。
もう一つ、この制度では収入が350万円以下、250万円以下の世帯の場合は、給付金が支給されますが、支給を希望する世帯の高校生は7月に改めて申請が必要になります。
これが、子ども同士に親の所得の格差を可視化させることにつながらないかということが懸念されます。このことが子どもたちの心にどのように影響を及ぼすのか分かりません。高校生であれば自分の家庭の経済状況はある程度把握していると思います。しかし、これを明らかに対象が分かる形で直面する場面はこれまでなかったと思います。

 これらのことが、取り越し苦労に終わることを祈るばかりですが、まだまだ、さまざまな懸念材料が噴出してきそうな制度です。
 沖縄の子どもたちや親たちの課題を顕在化させることになるかも知れないこの制度について、4月7日以降の各学校の状況を注視していきたいと思います。
 
池間島 1980年