2013年12月27日金曜日

第7回子ども支援ネットワーク交流学習会感想より

第7回子ども支援ネットワーク交流学習会に参加された皆さんから寄せられたアンケートの一部を、参加された方々の職種別に掲載します。

1 教諭

 子どもや親を支える人々がこんなにいることに驚かされた。宮崎県でも子ども支援ガイドブックみたいなものがあるかもしれない。探してつながりたい。この講座で人の周囲にはいろいろな立場で支え合える環境ができているということを実感した。厳しい状態になった時こそ周囲の「生きていこう」という声はものすごく大事だと思った。

 学習会に参加させていただきありがとうございました。笑いもあり時々「そうそう」と思うこともありあっという間の1日でした。地域のつながりを鹿児島県内でも作り上げていきたいと思います。
支援ガイドブックは大変素晴らしいものだと思います。様々な専門機関のアクセスやネットワークが実用的にまとめられていると思います。模擬ケース会議では実際に多くのいろいろな立場からの意見が聞けて良かった。模擬ケース会議では模擬ケースに絞って会議の再現でのイメージをつかみたかった。(必要に応じて解説を加えながら・・・)

 模擬ケース会議の事例で挙げられていた兄,妹と同じようなパターンの生徒と関わったことがあった。毎日ほとんど家庭訪問を行ったがほとんど改善が見られなかった。やはり母子家庭であり母親は多忙,夜勤もあり子どもだけで夜を過ごすことも・・・。母親も何とか子どもたちに関わりたかったようであったができる状態ではなく・・・。恐らく実際にこのような例は沢山あるであろう。まだ自分の近辺ではそのケアに当たることができる組織が確立していない。無力さを感じるところである。
 発達障がいの診断が出る→学校職員「あの子は病気,だから自分に責任はない,仕方がない。」という発言をよく聞く。障がいとして認識が広まったことは,それを理解しそれに応じた支援(指導)をすすめていくために必要なことであったと思うが,それよりも学校職員は自分の責任回避の理由にしている感もある。

 教員ですが,福祉のこと(どんな取り組みをしているのか)を知らなすぎだと思うし,知ろうとしない現実もあります。子どもの育ちをファミリーでとらえる,一生としてとらえるなど良い視点をいただきました。

 学校職員はどうしても学校の中だけで問題を解決しようとしがちですが,地域には様々な「その道のプロ」がいるので,「子ども」のためにつながることネットワークが大切だと改めて思いました。

2 児童養護施設職員

 それぞれの立場での事例,悩み,対応策等の意見があり参考となるネットワーク交流学習会でした。地域で問題を抱えている人に寄り添い,声を掛け合って真正面から取り組んでいくことが大事だと思います。

3 民生委員・児童委員

 多職種の交流会で本土からも参加いただき貴重な事例や意見を聞くことができ参考にさせていただいた。

4 NPO団体職員

 大変勉強になりました。知らないことだらけでびっくりしました。是非参加者が活動を拡げられるような,繋がれるような情報交換・人材バンク的なオンラインの仕組みを作って時間・場所に関わらず参画できるとHappyです。沢山の学びをありがとうございました。中・北部で学習相談会を企画しているので,おきなわ子ども支援ガイドブックも紹介します。

5 児童家庭支援センター職員

 模擬ケースの事例から進んでいく内容だったので,すごく分かりやすく,より身近に感じられ想像しやすかったです。みなさんの意見が実際のケースに結びやすく,すぐに実践につなげられる学習会でした。

 子どもの育ちを支えるために家族支援の大切さは常日頃感じるところですが,おばあちゃんのところまで焦点を当てて考えていくというのは新しい視点で考えることができました。いろんな立場の方々の声やファシリテーターさんのコメントに,意識していなかったところ,別の角度からの視点や支援を考えることができました

 各々の職場・立場で,実際に関わっている事例について話を聞くことができて良かったです。模擬ケース会議ということで1つの事例をグループで討議するようなシステムを考えていましたが,そうでなく全体が一人の人の話を聞く質疑応答でもないことが多かったのに最終的にはまとまっていました。お二人のファシリテーターの進め方もさすがですが,参加者の空気感も良かったです。

6 スクールソーシャルワーカー

 日頃意識して支援していた視点での模擬ケース会議が行われ,また沢山の関係機関の情報が得られ良かったです。次回は医療分野を含めてのケース会議を行ってほしい。

アンケートを寄せていただいた皆さんに感謝いたします。

2013年12月9日月曜日

2013年 第7回九州・沖縄地区子ども支援ネットワーク交流学習会 基調提案


基調提起


Ⅰ はじめに

 
 平成25年度の全国学力・学習状況調査は、沖縄県の小学生の教科の一部と中学生の全教科で正答率が最下位という結果になりました。この調査からは、子どもの学力と家庭の経済的・社会的状況の格差が子どもの学力に影響することも指摘されています。後述する「40人学級における学力保障にかかわる少人数学習の研究」では、子どもの学びには、さまざまな要因が複合化、重層化して影響を及ばしていることが明らかになっています。学力の獲得が困難な子どもたちに着目し、一人ひとりの実態に即して、学校、家庭、地域、福祉等様々な立場の人たちが連携、協働して取り組むことが必要です。
  今回作成した沖縄県の子ども、親たち・家庭、社会が抱える課題の図は、子どもの学びや暮らしの現状を表すデータを抽出し相互の関連を示す試みです。第7回の学習会が、この図に示された課題を共有し、今後のネットワークづくりに資する場となることを願います。



Ⅱ 子ども、親たち・家庭、社会が抱える課題 ―沖縄の実態を切り口に―

1 社会、親たち・家庭の現状

(1)社会

①雇用状況の悪化

 沖縄県の経済状況は依然厳しい状態にあり、子どものいる世帯に深刻な影を落としています。完全失業率は6.8%で全国1位、県民所得は平成25年度の調査で全国最下位という状況です。全国3位の生活保護受給率は、高齢者の数の多さと関係していますが、近年、働ける世帯の生活保護受給率が徐々に増え、全体の生活保護受給率を押しあげているという指摘があります。

②地域コミュニティーの弱体化
 ユイマールに象徴される相互扶助の土台となる地域社会も危うい状況にあり、その一端が那覇市の自治会組織率20.9%という調査結果から浮かび上がってきます。また「今住んでいる地域の行事に参加したことがある」と答えた沖縄県の小学生の割合が21.4%(全国35.8%)という結果は、子どもたちと地域との結びつきが薄くなっていることを表し、世帯の孤立化と地域のコミュニティー機能の弱体化が進んでいることを示しています。

(2)親たち・家庭

①子育ての孤立

 15歳から19歳までの若年出産1.086%、全国1位という状況と、育児に関する相談の入り口とも言える乳幼児検診の受診率が80%前後に止まっている状況は、核家族率の高さと相まって育児に関する情報やアドバイスが届きにくいという実態をもたらし、結果的に育児の不安や不適切な養育をひき起こす要因の一つになっている可能性があります。

②就労・経済状況の悪化

 国立社会保障・人口問題研究所で貧困問題を研究しておられる阿部彩さんが2004年の国民生活基礎調査を基に推計した結果では、日本における母子世帯の貧困率は66%で、両親と子どもだけの世帯など他の家族形態に比べ突出して高くなっています。沖縄県は、この子どもの貧困のリスクが高いひとり親世帯の出現率が全国1位、母子世帯の母親の月平均の勤労収入10万円未満が39.8%です。母親に対するアンケートで、一番の悩みが生活費という結果からも、母子世帯の厳しさ、親の不安の大きさが分かります。
  また沖縄は、非正規雇用率が全国1位で、働いている人の44.5%が非正規雇用という不安定な雇用環境にあります。

2 子どもたちの現状

「1 社会、親たち・家庭の現状」で述べた「経済状況の悪化」「孤立」「地域コミュニティーの弱体化」は、貧困などにより学びが阻害されるリスクが高い世帯の子どもたちの課題に結びついています。

(1)1日の生活から

①きびしい養育環境の子どもたち

 2010年に沖縄タイムス社が沖縄県内の小中学校の教員を対象にして行ったアンケートでは、夜、子どもだけで過ごしている子どもがいると答えた教員の割合が56%、給食以外の食事を十分とれない子どもがいると答えた教員が44.4%という結果になりました。また夕食を親などと一緒に食べていると答えた小学生66.4%、中学生が50.2%という全国学力・学習状況調査における結果沖縄の結果からは、半数近い子どもたちが子どもだけで夕食を食べているという家庭の状況が明らかになってきました。   
  親や兄弟に囲まれて過す時間が保障されず、家庭が子どもの安心や安全・健康を守る場所になっていないという厳しい状況下にある子どもが少なくないことになります。

②放課後の居場所

 那覇市が市内の児童に対して行った調査では、全児童の31.2%が学校から帰っても家に誰もいない状況にあることが分かりました。このような子どもたちの居場所となる社会資源が児童クラブですが、沖縄県の学童保育料の平均は1万円超と全国平均の2倍と高額であるだけでなく、家庭の状況に合わせた減免措置を行っている市町村の割合は4%とわずかです。
  学齢期の児童生徒に対し家庭の養育を補足する児童クラブ等の社会資源を拡充するとともに、これを利用する子どもと親の生活実態に即した改善をすすめる取り組みが求められます。
  今年、少女たちを県外へ連れ出し売春をあっせんする業者が摘発されるという事件が報道されました。平成24年中における少年の補導及び保護の概況によると、青少年保護育成条例違反等の犯罪被害にあった少女の人数は235人、全国5位です。大人のモラルの問題であることは言うに及びませんが、被害にあった少女たちの多くは、家庭や学校に居場所がないなどの背景があるという指摘もあります。

③学びを支えるために

 教育委員会や学校の努力にも関わらず、沖縄県の学力テストの正答率は最下位で低迷しています。
  確かな学力を保障していくためには、学びの土台となる乳幼児期からの生活習慣や遊びなどの「体験の質と量」をより豊かで確かなものにしていく取り組みが必要です。
  平成23年度の沖縄県民健康・栄養調査によると1歳から6歳までの朝食の欠食率は16.4%で全国平均7.2%の2倍以上の数値になっています。また全国学力・学習状況調査では「自然の中で遊んだことや自然観察をしたことがありますか。」の質問に「ない」「どちらかといえばない」と答えた小学生は全国平均で18.8%、これに対し沖縄県は24.6%という結果になりました。このような現状を踏まえた幼・保、小・中・高校それぞれの、また接続・連携した授業内容の工夫や改善が必要です。
  さらに教師の側に意識改革が求められることを示す調査結果があります。全国学力・学習状況調査で学習方法(適切にノートを取るなど)に関する指導をしていると答えた小学校の教師の割合は、全国平均は56.3%に比して、沖縄は35.1%にとどまっています。さらに、児童生徒の発言や活動の時間を確保して授業していると答えた小学校の教員は、全国平均45.3%であるのに対し、沖縄は32.4%です。


(2)ライフステージから

①きびしい養育環境

 1歳から6歳までの子どもたちの約6分の1が何らかの理由で朝ご飯を食べずにいます。これは全国平均の2倍の値です。そして、夜子どもたちだけで過ごしている実態と合わせて考えると、沖縄の子どもたちの養育環境は、きわめてきびしいと言わざるを得ません。

②非行と不登校問題

 中学生の非行は深刻です。2012年の刑法犯少年に占める中学生の割合は61%で全国1位、中学生の再犯率43.6%、共犯率56.2%、ともに全国1位となっています。
  高校生の不登校は1000人あたり28.5人で全国2位の高い割合になっています。また不登校の小学生も多く、1000人あたり4.1人で全国5位の数値になっています。高校を中退する生徒は全国3位の高い割合です。さらに15歳から34歳に占めるニートの割合が全国1位という状況です。
  全国学力・学習状況調査では、「自分には良いところがない、どちらかといえばない。」と答えた小学生が24.6%、中学生で34.4%となっています。また難しいことでも失敗を恐れないで挑戦しているかという自己効力感に関する質問に対し「あてはまらない、どちらかといえばあてはまらない」と答えた小学生が26.5%、中学生が34.4%となっています。いずれも小学生に比べ中学生の割合が高くなっている傾向があります。また自己・他者肯定感に関する質問に対しては、「自分の考えや気持ちを理解してくれる友達はいない、どちらかといえばいない。」と答えた小学生が14.4%、中学生が13.7%という結果になっています。非行や中途退学の背景には、自尊感情や自己効力感、自己他者肯定感の低さがあると考えられます。これらはまた、学習や進学の意欲を低下させる要因でもあります。これらの要因が重なり合い、学びが阻害されることによって基礎教育が十分に保障されないままきびしい就労と生活を強いられていると考えられます。


3 取り組みの方向性

(1)「40人学級における学力保障にかかわる少人数学習の研究」報告書の活用

 今回、子どもや親、社会の現状を整理するにあたって、福岡県人権・同和教育研究協議会の「40人学級における学力保障にかかわる少人数学習の研究」が示した「今日的な差別(社会の歪み)によって育ちと学び、暮らしが阻害されている現実」を活用しました。
 学力保障にかかわる少人数学習の研究では、福岡県内の4つの中学校区において、子どもの学力獲得を阻害している要因を明らかにし、根本的な解決を目指す実践・研究が進められました。各校区では授業改革を進めていく中で、子どもや親のくらし、学力の土台となる生活体験、家庭の教育力に着目しています。
 研究の総括の中で、子どもや家庭をとりまく状況の厳しさが重層化し、複合化していること、そして、表面化している課題の奥には内在化している課題が隠されていることを明らかにしています。例えば「学力低下」「進路選択の幅の狭さ」「高校中途退学」といった表面化した課題には、「学習・進学意欲の低下」「自尊感情の低下」「ロールモデルの不足」といった課題が内在していると分析しています。これら10年間の実践・研究は、沖縄の教育にとって示唆に富んだ内容になっています。

(2)おきなわ子ども支援ガイドブックの取り組み

 子どもたちが抱え込まされている課題の解決のためには、子どもの育ちや学び、親の暮らしにかかわる様々な人たちのネットワークとチームワークが必要となります。平成20年度沖縄県ひとり親世帯等実態調査では、不安や悩みを「だれにも相談しない」と答えた割合が13.4%で「家族・親族」「友人・知人」に次いで第3位という結果がでています。相談相手もなく孤立し、必要な情報や支援が届かない状況にある家庭が多く存在しています。
 子ども支援ネットワーク交流学習会実行委員会では、2012年におきなわ子ども支援ガイドブックの沖縄県版、2013年に那覇市版を作成しました。子どもの育ちや学びへの支援を親支援,家族支援を視野にいれて考えるという方針にもとづいて,福祉・教育・労働等にまたがる子育てや教育,暮らしに関する支援の情報が一覧できるようにしました。作成されたガイドブックが、それぞれの立場で子どもたちに関わる人たちを応援し、ネットワークを生む触媒となることを願い、学校やNPO団体、自治体の母子支援担当課等に配布しました。

(3)九州・沖縄地区子ども支援ネットワーク交流学習会

 以上、沖縄の実態を切り口として、表面化しているものとそこに内在するものを整理し、子どもや親たち・家庭、社会が抱えている課題の分析を試みました。さまざまな要因が重層的複合的に子どもの暮らしや学びを阻害しているという認識を踏まえ、これからの模擬ケース会議を通してネットワークとチームワークの可能性と課題克服のための取り組みを共有していきましょう。
 私たちが目指すものは、子どもが学ぶことをあきらめず、これからの社会の主体者、自立した市民として育ちゆくことができる条件、環境を整えることです。その営みは、持続可能な社会の構築を展望することでもあります。第7回九州・沖縄地区子ども支援ネットワーク交流学習会を契機に、九州・沖縄の各地になるネットワークの構築と協働した取り組みを拡げていきましょう。

2013年11月26日火曜日

病気のために長期にわたって欠席するリスクのある子どもたちの教育

 
 沖縄県の特別支援学校編成整備計画の中で、県立森川特別支援学校の休校が位置づけられている。慢性疾患や精神疾患等により長期に入院を余儀なくされた子どもたちの教育を保障するのが、病弱・虚弱の子どもたちを対象とする森川特別支援学校である。編成整備計画では、鏡が丘特別支援学校に病弱教育の機能を集約させるとされている。しかし、病気により長期にわたって自宅療養をしている児童や通学が安定しない子どもたちの実態についてはよく分かっていない。他県の病弱教育の現状を踏まえ、沖縄県における病弱教育のあり方について考えてみたい。

1 他県における病弱教育の動向

(1)病弱・身体虚弱特別支援学級の増加

 「小中学校に在籍する『病気による長期欠席者』への特別支援教育のあり方に関する研究」(平成22年独立行政法人国立特別支援教育総合研究所)では小学校の学校内特別支援学級(病弱・身体虚弱特別支援学級)数は,平成 14 年に 214 学級であったが,平成 21 年には 642 学級となり,3倍に増加した。また中学校の学校内特別支援学級数(同上)は,平成 14 年以降増加しており,平成 14 年に 87 学級であったが,平成 21年には 245 学級となり,2.8 倍に増加した。特に平成 18 年に 131 学級であったが平成 21 年には245 学級と急増していることが報告されている。


 また、平成24年度学校基本調査の結果によると,病弱・身体虚弱特別支援学級は全国に1,325学級あり,平成6年頃に比べると約2.5倍に増えている。また,全国病弱虚弱教育研究連盟が実施した平成24年度施設調査によると,病院内にある特別支援学級は248学級であった。これらのことから,おおむね病弱・身体虚弱特別支援学級の内,病院内に設置された学級は20%未満であり,80%以上が小中学校内に設置された学級であるといえる。


(2)心身症や精神疾患等の児童生徒の増加

 全国の特別支援学校(病弱)110 校に実施したアンケート調査の結果,対象児童生徒の中で心身症・精神疾患等の人数は,小学部 1,272 名中 179 名(14.1%),中学部 1,194 人中 463 名(38.8%),高等部 1,440 人中 534 名(37.1%)で,全体で 30.1%であった。平成 15 年度病弱教育研究部国内調査「病弱養護学校における心身症等の児童生徒の教育―『心身症等など行動障害』に括られる児童生徒の実態調査と教育・心理的対応―」では心身症等の児童生徒は,全体の 16.5%であったので,この5年間に,心身症・精神疾患等の児童生徒が大幅に増えたことになる。


2 県内の病弱教育の動向


(1)病気による長期欠席者の教育

 「小中学校に在籍する『病気による長期欠席者』への特別支援教育のあり方に関する研究」(平成22年独立行政法人国立特別支援教育総合研究所)によれば、「小中学校に在籍し病気を理由に長期欠席(年間 30 日以上欠席)しながら特別支援教育を受けていない子どもたちが約 46,500 人(2007 年度)おり,一向に減少する気配はない。」とあり、病気による長期欠席者が特別支援教育の対象である、と明言している。


(2)病気による長期欠席者の現状

 病気を理由に長期欠席(年間30日以上)している児童の現状

学校基本調査によると、平成24年度間に沖縄県の小学校において病気を理由とした長期欠席の児童数は405名であった。平成20年度間は395名で、平成21~25年度間に在学者数は2146名減少しているのにも関わらず病気を理由とした長期欠席の児童数は10名増加している。また、中学校においても平成24年度間で277名であった。平成20年度間は162名で平成21~25年度間に在学者数は798名減少したのにも関わらず、病気を理由とした長期欠席者は115名増加している。

(http://www.pref.okinawa.jp/toukeika/school/2013/sokuhou/gaiyou/02junior.pdf)

(http://www.pref.okinawa.jp/toukeika/school/2013/sokuhou/gaiyou/02junior.pdf)


(3)病弱特別支援学級の設置状況

 県内の小中学校における病弱・身体虚弱特別支援学級の設置はない。また他県では市町村教育委員会が長期入院中の児童生徒への訪問教育を実施している例があるが、本県では森川特別支援学校が8つの病院内訪問学級で行う教育のみである。


(4)病弱・身体虚弱教育の顕在的ニーズと潜在的ニーズ

 現在、県立森川特別支援学校病院内訪問学級の在籍は年間を通して30名前後で推移しており、年間数十件の転入学がある。近年は義務教育段階の児童生徒のみならず、高校生を対象にした病院内訪問学級での教育を2病院において実施しており病院において教育を受けることで単位を履修し、高等学校へ復帰していった。

 このように数値として表れている実績とは別に、小中学校に在籍している子どもたちの中で、病気等により長期欠席している児童生徒の中に、本来病弱・身体虚弱教育の対象となるべき児童が埋もれてはいないか。県外においては病弱・身体虚弱特別支援学級対象の児童生徒が年々増加しているのにもかかわらず本県だけが特異的に対象児童が存在しないということは考えにくい。現在、正確な実態が把握されていない現状に光を当て、本県の病弱・身体虚弱教育の今後を見定めることが必要である。


3 今後の取り組みの方向性
 かつて特殊教育が義務化される以前、創設準備から開校にいたる過渡期にあった沖縄県立美咲養護学校の教諭たちが行ったのは、障害児を探すことであった。就学猶予という名目で教育を受ける権利を失い、家庭でひっそりと生きてきた障害児を、戸籍を頼りに見つけ出し、親を説得し学校に連れて行くことが仕事だったという。つまり創生期の特別支援学校はニーズから生まれたのではなく、ニーズを作り出す過程で成立したと言える。

 沖縄では病気により長期に欠席するリスクの高い子どもたちが、特別支援教育の対象であるという認識が広く共有されることがなかった。病気の治療が最優先されるべき、という認識に対し病院内訪問学級における教育が子どもの治療効果の向上につながっているという指摘がある。また治療中の子どもの心の居場所として、病院内訪問学級に集まる子どもたちのコミュニティーが必要だと話してくれた医師がいた。障害でもなく、さりとて普通教育からも十分に手が差し伸べられていない子どもたちについては

 今後、学習の空白をなくす取り組みを早急に進めなければならない。今できることは、実態の把握のための調査と、ニーズを生み出すための取り組みである。



 

第7回九州・沖縄地区子ども支援ネットワーク交流学習会に向けて

 平成25年度の全国学力・学習状況調査において、沖縄は引き続き小学生の教科の一部、そして中学生の全ての教科の平均正答率が最下位という結果になった。このニュースが新聞紙面を賑わしたが、学力の低下が、学校・子どもたちの問題としてでなく、沖縄の社会全体の課題として共有されているだろうか。

 学びは、社会参画をとおして自己実現を図るために必要な力を獲得する営みであると同時に、地域社会の構成者を育成することである。つまり子ども一人ひとりの学びの保障は、沖縄県を持続可能な社会として構築していくための必須条件なのである。

 沖縄の子どもたちの学びの獲得を困難にしている要因は何か。全国学力・学習状況調査では、保護者の経済状況と子どもの学力の相関関係が指摘されている。また福岡県人権同和教育研究協議会が福岡県内の4つ小学校を調査研究校として、10年間にわたって行った調査研究の報告書「40人学級における学力保障にかかわる少人数学習の研究」の中では、地域コミュニティーの弱体化や親・大人たちの貧困など問題が、重層的かつ複合的に子どもの学びや育ちに影響を及ぼしていることを明らかにした。同時に、家庭的に厳しい状況にあっても確かな学力を獲得していった子どもたちがおり、その背景には親を支える地域のコミュニティーや行政、ボランティア等の支援機関のかかわり、学校教職員の丁寧な取り組みが存在したと報告している。

 沖縄県でも子育てや教育、親支援に取り組み、実績をあげている事例がある。糸満市のNPO法人「いっぽの会」など、地域と連携してひとり親世帯の母親の就労支援や子育て支援に粘り強く取り組んでいる例、また「地域若者サポートセンターなは」のように、県立高校の校舎内にスペースを設け、高校生の居場所づくりと不登校の課題に協働して取り組んでいる実践などである。

 これらの事例は、子どもの学びや暮らしの困窮に遭遇した時、私たちが取り組むべきことは子どもの学びや家族の暮らしに関わる人たちが顔と顔の見える関係=ネットワークを構築し、チームとして課題に向かうことであることを示している。

 九州・沖縄地区子ども支援ネットワーク交流学習会実行委員会では、2012年と2013年に「公益信託宇流麻福祉基金」と「おきぎんふるさと振興基金」の助成を受け、子育て支援の社会資源をまとめた「おきなわ子ども支援ガイドブック」を作成した。

 その取り組みを発展させるために、下記のとおり今年12月7日(土曜日)に沖縄大学で第7回の学習会を開催する。子育て支援や親支援を行う参加者が日頃の事例や取り組みの実践や課題を共有する場とし、新たなネットワークの広がりの場、課題解決の糸口の見つかる場としたい。


日時:平成25年12月7日(土)9:30受付、10:00~16:30

場所:沖縄大学3号館101教室

参加費:1000円

内容:

1 基調提案

2 模擬ケース会議及び交流

2013年9月29日日曜日

第7回九州・沖縄地区子ども支援ネットワーク交流学習会の案内チラシができあがりました。

 
 
 

第7回の学習会の案内チラシができあがりました。今回の学習会は一つの家族の3つの事例案について模擬ケース会議を参加者とファシリテーターで展開します。
 子ども支援ガイドブックに示された関係機関が、その家族の状況やニーズに応じて、どのようにチームを組みどのようにサポートしていくのか、その具体例を共有することができる学習会を目指します。

第7回九州・沖縄地区子ども支援ネットワーク交流学習会のごあんない


 

 学びは、社会参画をとおして自己実現を図る―社会の構成員(形成者)として権利を行使する―に必要な力を獲得する営みです。どの人にも保障されなければならない権利です。また、すべての人に学びが保障されることは、持続可能な社会を構築していくための必須条件です。 確かで豊かな学びを子どもに保障することは、よりよい未来を創ることです。すべての子どもに学びとそのための育ちを保障する取り組みを、おとな一人ひとりができることを寄せ合って、社会の営為として進めてまいりましょう。

九州・沖縄地区子ども支援ネットワーク交流学習会
実行委員長 桜 井 国 俊
九州地区県同教連絡協議会
会 長 小 西 清 則

○と き:2013年12月7日(土)受付9時30分
○ところ:沖縄大学3号館101教室
○内容

【基調提起】
沖縄の子どもや親たちが抱え込まされている課題と、必要な取り組みについて、整理を試みたことを報告します。【模擬ケース会議および交流】子どもや親たちがおかれている実態のなかから、具体的な場面を例示します。その解決に向けて、子どもの育ちや学び、親のくらしにかかわるさまざまな立場から、それぞれにできることを交流しましょう。

○内容構成
テーマ:子どもの自己実現を支援するために、それぞれの役割分担と協働の取り組みを通して、私たちおとなができることを、学び、交流しましょう~ 就学支援をはじめ、子どもや家庭への支援の取り組みをとおして ~

子どもや親たちの実態から課題を整理し、共有します。その課題解決にむけて、教育・福祉分野で取り組む人たち、地域で子どもの育ちにかかわるさまざまな人たちの役割分担と協働による支援の取り組み等について交流、協議し、展望を明らかにしましょう。

■ 基調提起
 沖縄の子どもや親たちが抱え込まされている課題をどのように整理し、課題解決に必要な取り組みをどのようにつくりだしていくか(仮)

■ 模擬ケース会議および交流
 2010 年に『おきなわ子ども支援ガイドブック』(第4回学習会にて配布)が完成・発刊され、2012 年にはその改訂版(第6回学習会にて配布)も発刊されました。ガイドブックには、子どもの育ちや学び、親のくらしにかかわるさまざまな機関や支援制度の具体が盛り込まれています。それらの機関や制度を担う人たちがつながり、協働して取り組むことが求められています。 今回は、「模擬ケース会議」の形式で、目の前の子どもや親たちが困っている場面を事例として提示して、課題を整理し、それぞれの立場からできることを出し合います。子どもや親たちにかかわる人たちが一人で抱え込むのではなく、だれに、どのような相談をすればよいのか、また、ネットワークとチームワークによって、どのような支援が可能になるのかを明らかにしたいと考えます。
 模擬ケース会議における事例(意見交流の切り口)は、次の通りです。

○ 学力をはじめ学校生活に困り感をもつ子ども、「不登校」「発達障害」にかかわって
○ 母子家庭における経済的な困難や、子育てをするうえでの困難にかかわって
○ 介護をするうえでの経済的、身体的、精神的な負担にかかわって

※ 各ケース会議の間には、自由に交流できる時間を設定します。さまざまな分野・人のそれぞれにできることを知り、ネットワークとチームワークによる取り組みの可能性をひろげましょう。

■ まとめ 沖縄大学 学長 加藤彰彦さん

2013年9月28日土曜日

ロード・オブ・「おきなわ子ども支援ガイドブック2014年南部版(仮称)」①

9月16日
 沖縄県教職員組合島尻支部の委員からの要請をうけて、九州沖縄地区子ども支援ネットワーク交流学習会実行委員会として、沖縄本島南部市町村の子どもと親への支援についてまとめたガイドブックの編集に取り組むことになりました。
 
9月27日までの取り組み
 各市町村の児童家庭課など母子福祉にかかわる部署に、協力依頼のメールを送ったとところ、さっそく糸満市の職員が協力の意向を示してくれました。

しかし、メールでの依頼についての回答が糸満市のみであったので、糸満市児童家庭課の方からのアドバイスで、南城市、八重瀬町、与那原町、南風原町、豊見城市の母子福祉担当課及び教育委員会には、文書で協力依頼をすることにしました。2013年度那覇市版を参考資料として添えて郵送します。
10月初旬には糸満市の児童家庭課担当の方に会い、編集に向けた取り組みを開始する予定です。

2013年9月21日土曜日

「40人学級における学力保障にかかわる少人数学習の研究」報告書

 江嵜さんから以前いただいた報告書。沖縄の現在の課題に重なる示唆に富んだ内容なので、その内容を共有するために、概要をこのブログにまとめてみたいと思います。

まず、この研究に至る取り組みの経緯について触れられた箇所の要約です。

「2 取り組みの経過」より

 1990年に福岡県人権・同和教育研究協議会(以下県同教)によって実施された福岡県同和教育実態調査によって、被差別部落と被差別部落外の子どもの学力格差が明らかになりました。調査結果分析から、子どもの学習理解力と生活実態、セルフイメージとの相関が明らかになり、「低学力」の克服、肯定的セルフイメージの育成、家庭・地域の教育力の向上という課題が提起されました。

 福岡県の同和教育は、「30人学級」という学級定数緩和による学力保障の取り組みを続けてきました。しかし日常的・全体的な授業改革の取り組みになり得ていないという反省のもとに、多様な学習形態の創出と内容づくりを重視する取り組みへと大きな転換が始まりました。

 同時に、子どもの学びを確かなものにするためには、学校・家庭・地域の総合力が必要であるという観点に立った取り組みを重視し1996年度から福岡県学力保障実践交流会を開催、実践の交流と検証に取り組んでいきました。

 2000年度、県同教は、低学力の背景に迫り、その要因に対する取り組みへと実践・研究の照準を変化させます。そのもととなったのが「人権教育の翼」という海外視察であり、アメリカ、テネシー州の「スタープロジェクト」の実践に触れたことが大きく影響しています。

報告書の原文を引用します。

 視察報告の内容は「就学前から小学低学年における少人数学級の体験は、その後の学習・生活に長期にわたって好影響をもたらした。その効果は厳しい生活状況にある地域において大きい」というものでした。示唆的だったのは、「クラスの人数が少なくても、授業内容づくりが伴わなければ効果は薄い」ということでした。まさに、私たちが重視してきた授業改革、学校改革の視点と重なるものでした。それは、従来の一斉画一、知識注入型の授業のあり方を克服し、学習形態を工夫して子どものニーズに応じた教育を実現する(架線は筆者による)ことでした。

 このような経緯から小学校低学年における少人数学習の取り組みを先駆的に推進するために福岡県内の4小学校(田川市立金川小学校、直方市立下境小学校、久留米市立鳥飼小学校、筑紫野市立二日市北小学校)による「40人学級における学力保障にかかわる少人数学習の研究」がスタートしました。また取り組みの効果を追跡的に測定・検証するためにそれぞれの4中学校区による実践研究活動が始まりました。

「3 実践・研究(追跡調査)から明らかになった有効な取り組み」より

(1)取り組みの特徴~今日に至る実践・研究の柱~ 


2003年度、4校の取り組みの成果を以下のように整理しています。
報告書の内容をそのまま引用します。

①田川市立金川小学校


学校の授業と、家庭での生活体験とを結ぶ取り組みが、具体的に実践に移されていった。学級の人数が少なくなったことで、一人ひとりの実態をていねいにみとることができる。その中で、セルフコントロール(自己統制力)にもつながる自己評価の取り組みを続け、成果をあげている。課題を家庭・地域が共有し、評価傾向を一致させて取り組んでいる。何をもって親とつながるのか、何を親と共有しているのか、どんなことが、どの範囲で語られなければならないのかなどの論議を大切にした。子どもの様子を家庭にていねいに伝え、褒めることや叱ることの価値を確認し、「学習応援団」を募り、授業に保護者や地域の人を招き、協働して子どもを育てている。保護者・地域と一緒に作成した『子育てハンドブックⅡ」もその取り組みを支えている。このように、学力の阻外要因を一つひとつ解消していく取り組みが継続的に行われてきている。


②直方市立下境小学校

 目の前の子どものきびしい学力実態から中心に据えるべき子どもを明らかにし、そのひとりの子にこだわり、授業づくりが取り組まれてきた。そのことによって、授業内容が、被差別部落の子どもをはじめ、きびしい子どもたちに届き、一人ひとりが自己実現できる力の基礎づくりとして生かされている。その過程で、教材・教具の工夫や「学びの場」の設定など、授業改善の視点が明らかにされ、それに基づく手法・手立ては、教師個々、学年教職員集団の個性・特性を生かしながら講じられてきた。基礎基本の定着にこだわり、家庭・保護者と協働で取り組んだ読みや漢字の指導など、保護者にも子どもの努力を伝えていった。中心に据えられた子がまわりの子たちにも認められたりする中でセルフイメージを高めていく取り組みが、継続的に行われている。
この取り組みを通して、教師自身が子どもや親、地域と出会い直し、自己変革していく姿が生み出された。一人ひとりの自己変革が教職員集団全体に広がり、学校改革のエネルギーにつながっている。


③久留米市立鳥飼小学校

 「少人数」によって生まれる「5つの余裕」(物理的・空間的・時間的・精神的・総合的余裕)を何にどう生かすかを考え、継続的に取り組まれてきた。小学校低学年の重要性をしっかりみつめ、「くぐらせ期」にこだわり、子どもたち自身が自分の中で「学び」をつないでいけるような「ひらがな指導」の工夫と、「漢字・カタカナ指導」への発展を、いろいろな手法・手立てにより計画的に行っている。「文字」との豊かな出会いを仕組みながら「学ぶ楽しさ」を追求する取り組みが、系統立てて実践された。
 そのために、一人ひとりの育ちの違いや学ぶ道筋の違いを就学前教育機関や家庭との連携によって把握した。子どもの実態からスタートし、つけたい力を明らかにしながら、個に応じた学習支援が行われた。また、年間を通じて教科学習や行事等での学び合いによって、「つながり合う学び」が生まれている。


④筑紫野市立二日市北小学校

地域における学習活動と連携し、親や地域の熱い思いや願いを根底に据えながら、さまざまな手法・手立てを導入し、授業改革・学校改革が取り組まれてきた。「子どもの実態からの授業実践」、「教育活動の基本は家庭訪問」を根底に据え、子どもの豊かな学びを保障する授業改革の一つとして、低学年重視の少人数学習が取り組まれてきた。家庭訪問の質を問い、親の思いや子どもの生活背景を受けとめ、子どもの体験・経験を親と共有し、協働の取り組みによってそれを学力にどう結びつけていくかを話し合っている。差別の悪循環を断ち切るための学力保障の考え方には、地域の人たちや保護者の,思いや教職員のかかわりが土台にあり、地域と協働して取り組むことの重要性が確認されてきている。

(2)学力実態の推移

①全体の学力の推移から


 田川市立金川小学校における「NRT学力検査」の1994年から2011年までの偏差値の推移によると、低学年を重視した少人数学習を始めた2001年以降、それまで「偏差値45の壁」を超えることがなかった学校偏差値が2010・2011年には50を超えています。

 同じく「NRT学力検査」の結果を同和地区児童と同和地区外児童とで比較すると2009年度には1.7ポイントまでその差が縮んだものの、2010年度から再び開き始め、2011年度時点では3.2ポイントとなっています。しかし、同和地区児童の数値は校区事業を始めた当初の1994年比べると3.3ポイント上昇しています。

②高校への進学状況および進級状況の比較から



直方市立直方第1中学校の2008年度から2010年度までの卒業生のうちの下境小学校卒業生の状況は高校進学率が上昇し、進路未定者数が減少しています。



  
 2001・2002年度小学校入学児童を検証学年として、1998年小学校入学生を比較対象学年として高校進学・進級の状況について分析したところ、進級率は上昇傾向を示し、同時に中退率が減少しています。
 報告では、検証学年の子どもたちの傾向として高校を中途退学しても翌年地元の高校に入り直す、留年しても退学せずに1年遅れで進級するといった「学びから逃げない」姿が特徴的であると述べています。また小学校低学年での時点で学習に対する基本姿勢を確立することがその後の修学に影響すると述べています。

(3)個の学力の推移

①特徴的な4類型
 小学校入学時から少人数学習に取り組んだ学年の児童の中で、学力的に厳しかった児童がどのような変遷をたどったを追跡し、学力の状況を4つの類型に分けそれぞれの学習の基礎となる生活実態について考察しています。

ⅰ 上昇が見られなかった子

○家庭の経済状況の厳しさが続き、衣食住の基本的生活環境が常に不安定な状況にある。
○親やきょうだいも自立できていない生活状況が続いている。
○地域の支援を受けにくい状況が続いている。

ⅱ 上昇していった子

○親が子どものことに高い関心をもつことができるようになった。
○親のがんばっている姿を見て育つことができている。
○親からいろんなことが子どもに伝えられている。
○親と教師が子どものことについてよく話し合うようになり、信頼関係が築かれている。
○良好な交友関係ができている。
○精神的に落ち着いた雰囲気で学習に向かうことができるようになった。
○将来の仕事に対する夢をもてるようになった。

ⅲ 下降していった子

○思考、判断力が問われるような学習を苦手としている。
○家族とともに過ごす時間が少ない。
○衣食住の管理がきちんとなされていない。
○おとなの否定的な言動に多く接している。
○情緒が不安定。
○親との関係が不安定。

ⅳ 上昇、下降を繰り返している子

家庭環境が急変している。

学力的に厳しい子どもの背景を探ると、親が地域の中で孤立し、地域活動にも参加していないという状況が見られたようです。また親が子にかかわる余裕がないことで食事や学習準備に関わったり、学校であったことを聞いたりすることができないことが子どもの学力に影響していると考えられるケースもあるようです。

また「自尊感情は高いが学力は厳しい」という子どもは自らを過大評価している反面つまずくとすぐにあきらめてしまう傾向があることが分かりました。

総じて、学力が厳しい子の親ほど、子どもに甘い傾向が伺えるようです。しかし親自身は子どもに厳しいと判断しているようです。子どもに考えさせたり、心に響くアドバイスをしたりした上で、我慢させ、努力し続けることの後押ししたりすることで子どもを鍛えるという厳しさが必要だと、述べています。

一方、家庭的には厳しい状況にありながら確かな学力を獲得していった子どもの背景をひもとくと、親の関わりや仲間とのつながり等の要素が支えになっているようです。そこには、親を支える地域のコミュニティーや行政、ボランティア等の支援機関のかかわり、学校教職員のていねいな取り組みが存在していました。これらが、子どもに精神的な安定を生み、生活意欲や学習意欲、将来への展望を抱かせています。



就職・生活支援パーソナル・サポートセンターについて

 おきなわ子ども支援ガイドブックに掲載した就職・生活支援パーソナル・サポートセンターの電話番号が変更になりましたので、ブログからダウンロードできる那覇市版の23ページの修正を行いました。新しい電話番号は098-865-5003です。沖縄県版も近日中に修正を行いますので、もうしばらくお待ち下さい。

2013年9月17日火曜日

第7回九州沖縄地区子ども支援ネットワーク交流学習会の打ち合わせ

 第6回までの学習会は、基調報告の後、子どものライフステージや課題を切り口にした分科会で協議し、最後の全体会で内容を共有する、という展開で行われていました。今回の交流学習会は、全体会のみ、さらに模擬ケース会議を行う、という新しい試みを行います。
 9月16日は江嵜さんが包括支援センターや児童家庭支援センターの友人とともに練り上げてきた、鈴木家という仮想のケース事例とエコマップをもとに、模擬ケース会議の進め方について話し合いました。
  打ち合わせが始まる前までは、私を含めた他のメンバーも、子ども・母親・高齢者といった3つの別のケースをもとに模擬ケース会議を行うものと思っていましたので最初は面食らったというのが正直なところでした。

 しかし、互いに意見を交わす中で、今回提案のあったケース事例が、一つの家族に3世代の課題が内包され、それが相互に影響し合うことが子どもの課題として表面化しているということの意味、つまり「子どもの課題を家族の関係性を視野に入れて考える。」という視点を参加者が共有するという目的を確認し合うことができたと思います。
さて、ケース事例はこのようなものです。

鈴木家は、中学3年生の兄と小学4年生の妹、その母親と祖母で構成された家族です。

兄は学力的にきびしい状況ですが、高校進学を希望しています。

妹は不登校で、発達障害の疑い。

母親は、パートを掛け持ちして家計を支えています。

しかし祖母の認知症が進み・・・。

ケースの詳細は、学習会で。

 このケースを切り口に、互いにこれまでに取り組んだ事例について情報交換しながら、支援者や当事者間の交流を深めていこうというものです。また、このことは子ども支援ガイドブック活用の具体例を共有することにもつながることでしょう。

 さらに、担当している児童生徒の家庭の貧困や虐待のサインに気づきながら、どう対処したらいいのか、あるいは、どこに相談したらいいのかと途方にくれている教師のみなさんが、希望や手がかりを掴む学習会になると思います。

第7回九州沖縄地区子ども支援ネットワーク交流学習会は

12月7日(土曜日)午前9時30分受付10時開始

沖縄大学の3号館101教室にて開催。参加費は1000円です。

2013年8月31日土曜日

クローズアップ現代「スマホで広がる違法就労~10代闇のネットワーク~」

 県内の女子中高校生を売春目的で集め、県内外に派遣していたあっせんグループが摘発された事件は衝撃的でした。
 事件ではソーシャルネットワークサービスが、少女たちを売春派遣グループに取り込むのに使われていたことが報道されています。
 8月28日火曜日に放送されたクローズアップ現代「スマホで広がる違法就労~10代闇のネットワーク~」は、前述の事件が沖縄の現実の氷山の一角でしかないことを訴える内容でした。番組では飲酒の接待業や風俗店で働く少女たちの実態として、沖縄における取材が紹介されています。学校や家族、地域社会から孤立した彼女たちが行き着いたバーチャルのコミュニティーが、風俗であり、暴力団が介在する闇の社会での生活という現実。言葉を失うばかりですが、この事実に向き合うしかないのだと思います。

番組ホームページでは、放送内容の詳細を読むことができます。
http://www.nhk.or.jp/gendai/kiroku/detail_3391.html

アートキャンプ2013展素朴の大砲、記念講演会のお知らせ

ボーダレスアートミュージアムNO-MAアートディレクターの はたよしこ さんによる講演会が下記の日程で開かれます。

藤野友衣 アートキャンプ2008展出品作品
日時:2013年9月15日(日曜日)午後2時~4時
場所:浦添市美術館講堂(玄関エントランス奥)
演題:「アールブリュットの力はどこからくるのか」~パリでも大評判を受けた日本の作品群~
入場無料

講師プロフィール
79年大谷美術館絵本原画コンクール入賞。80年クレヨンハウス絵本大賞優秀賞受賞、赤とんぼ絵本賞入賞、。81年偕成社「絵本とおはなし」新人賞受賞。主な絵本に「そらのたべかたおしえましょう」「うしろをみせて」(すずき出版)、「ゆうくんのぶわぶわふうせん」「おにがきた」「ぼくをだいて」(偕成社)「かけっこしよう」(岩崎書店)などがある。また長年、知的障がい者のアートサポートを続けており、エッセイ集に「風のうまれるところ」(小学館)、編著に「DNAパラダイス-27人のアウトサイダーアーティストたち-」(日本知的障害者福祉協会)、「アウトサイダー・アートの世界-東と西のアール・ブリュット」(紀伊国屋書店)などがある。国内外で障がい者のアートを紹介し、展覧会やワークショップなどを行っている。

2013年8月30日金曜日

すこやか講座「マネープランと奨学金について」

繁多川公民館へガイドブックを届けに行った帰り、階段の掲示で見つけたのでさっそく撮影。

那覇市母子寡婦福祉会母子部ひとり親ネットワークNIRAI主催による講座「マネープラント奨学金について」が
平成25年9月28日土曜日午後2時から5時に那覇市母子福祉センター(那覇市金城3丁目5番地4)にて開かれます。

講師は金城末子さん(記帳代行サービス チームエコα代表と高良久美子さん(元学研くまSUN教室教師)だそうです。

対象は、那覇市在住のひとり親家庭の親子と寡婦の方
事前申込が必要です。

くわしくは那覇市母子寡婦福祉会まで。

2013年8月25日日曜日

おきなわ子ども支援ガイドブック2013年那覇市版をご希望の皆様へ

 おきなわ子ども支援ガイドブック2013年那覇市版(以下那覇市版と表記)をご希望の皆様、那覇市役所および関係機関のご厚意により以下の機関の窓口にも頒布用の那覇市版を置いてありますので、ご利用下さい。
 那覇市社会福祉協議会、那覇市母子寡婦福祉会、沖縄県総合福祉センター内ボランティア・市民活動支援センター、那覇市こども政策課、こども政策課、子育て応援課。
また那覇市版は、PDF版をこのブログからダウンロードできるよう
にしております。

2013年8月20日火曜日

アートキャンプ2013展~素朴の大砲~のお知らせ

 特別支援学校で美術を教えながら、子どもたちの作品に触れていると時々ハッとすることがあります。西洋美術の系譜とは違う美意識、細部に没入するこだわり、視覚的情報に対する驚くべき記憶力、奇抜なデフォルメ。
さらに驚かされるのは、図工や美術の授業以外の時間にも創作をしている子どもたちがいることでした。
 自宅に帰って後の日課の合間を見つけて、生きることの一部として描き、作り続けている彼らの表現には、作風あるいはスタイルといってもよい一貫した世界観がありました。
それは、とりもなおさず、身の回りのモノ、人、コトに対する彼らなりの向き合い方を表しています。あまりにも個人的で不器用だけど真摯な観察者。それゆえに、見慣れた日常を違った視点で投影した作品が、見ている私を掴んで離さない、という体験をしました。材料も手軽に手に入る紙やセロファンテープ、針金などが、彼らの手にかかると、化学変化が起こったように独特の質感をもって迫ってきました。
 
 この展示会を企画した「アートキャンプ2001実行委員会」は独自の表現世界をもつ障がい児者の表現活動を支援し、2001年から5回にわたり展示会を開催してきました。これまで、アートキャンプ展で紹介された作家の中には「アールブリュットコレクション」等海外の美術館から招待を受けるなど高い評価を得た作家もいます。
 本展はこれまでに紹介されていない新たな作家16名を含めた県内作家26名と県外の4名の作家で構成されています。
 展示会は9月12日から沖縄県の浦添市美術館で開催されます。
是非、ご覧下さい。



2013年8月15日木曜日

高校無償化見直しへ

高校無償化見直しのポイント

 福岡県では、受験生に対して公立高校の数が十分でないため、私立高校が受け皿になっていると聞きました。そのため、経済的に厳しい家庭の中学生が私立高校に進学するケースも少なくないそうです。

 現在、私立高校に通う高校生に対しても公立高校の授業料と同額の修学支援金が支給されています。下の図がその就学支援金の制度の概要です。

世帯の収入が低い層への支援も制度に組み込まれています。つまり世帯の総収入(年収)が350万円以上の世帯には年間118,800円が支給されますが、250万円から350万円未満の世帯には59,400円が、250万円未満の家庭にはさらに118,800円が上乗せされて支給されています。


私立高校の無償化(施策パッケージ)



 しかし、実際には、図にもあるように授業料の平均額は364,505円で、支給額を超える費用が必要なため、経済的に厳しい家庭にとって重い負担となっています。

高校授業料無償化見直しに対する政府与党案の概要について産経ニュースが取り上げていました。その主なものは

1 所得制限の導入
必要経費年間約4000億円の総枠は維持
公立、市立を問わず所得制限を導入する。基準額は世帯年収900万~930万円で調整し、浮いた財源を低中所得層支援に充当

2 低中所得層支援の充実
私立高校生向け修学支援金を増額
世帯収入250万円までの層を対象に返済義務のない給付型奨学金(公立13万、私立14万円を新設。

詳しくは、産経ニュースの記事をお読み下さい。

 政府与党案には世帯収入250万円までの層を対象に、給付型の奨学金を創設するということが示されています。現在、ほとんどの奨学金が、貸与型という日本の状況を変える、という意味で大きな意義があると思います。自民党と公明党間で所得制限を導入する基準額で対立しているそうです。個人的には、より多くの世帯に支援が行き渡るために基準額を世帯年収900万とする案にまとまってくれるといいと思います。

2013年8月11日日曜日

アーカイブ② 「沖縄県の県立高校の授業料減免申請の流れ」

 これも古い資料から。
 ガイドブックを作成する以前、2009年に実行委員会が取り組んだ課題が、高校授業料減免申請の運用改善でした。制度を実行委員が学習するための資料が以下の文書でした。



授業料の減免申請に係る条例及び規則

子ども支援ネットワーク交流学習会資料

沖縄県立高等学校等の授業料等の徴収に関する条例

(高等学校授業料等の減免等)
6条 教育委員会は、教育委員会規則の定めるところにより特別の理由があると認めるときは、高等学校授業料等を減額し、若しくは免除し、又は徴収を猶予することができる。

沖縄県立高等学校等の授業料等の徴収に関する条例施行規則

(免除の対象)
第2条 授業料の免除を受けることができる者は、次の各号のいずれかに該当するものとする。
(1)生活保護法による生活扶助を受ける者と同一世帯にある者。ただし、生業扶助として高等学校等就学費を受給している者を除く。
(2)前号に掲げる者のほか、著しく生活困難な子弟
(3)災害、疾病、失業、営業不振その他の理由により著しく生活困難になった者の子弟
(4)児童福祉法に基づく児童福祉施設に入所している者
(5)沖縄県立高等学校管理規則第29条第2項の留学の許可を受けた者
(6)前各号に掲げる者のほか、経済的事情その他の理由により教育上特に免除の必要があると認める者

(減額または徴収の猶予の対象)
第3条 授業料の減額又は徴収の猶予を受けることができる者は、次の各号のいずれかに該当するものとする。
(1)災害、疾病、失業、営業不振その他の理由により学費の負担が困難となった者の子弟
(2)前号に掲げる者のほか経済的事情その他の理由により教育上特に減額又は徴収の猶予の必要があると認める者

(減免の条件)
第3条の2 前2条に規定する免除又は減額を受けることのできる者は、次に掲げる条件を具備しなければならない。
(1)学業成績良好であること。
(2)性行良好であること。

(免除又は減額する額)
第4条 授業料を免除し、又は減額する額は、条例第2条の規定により納付すべき授業料の全額又は半額とする。

(免除又は減額の申請手続き)
第5条 授業料の免除又は減額を受けようとする者は、その保護者と連署した申請書(第1号様式)に次に掲げる書類を添えて校長に提出しなければならない。ただし、第2条第1号、第4号または第5号に該当する者は、第2号の様式は提出を要しない。
(1)家庭状況調書(第2号様式)
(2)市町村民税課税証明書および固定資産税についての市町村長の証明書
(3)第2号各号又は第3号各号のいずれかに該当することを証明するに足りる書類

2 校長は、前号の規定による書類を受理した場合は、必要事項を調査の上、第2条第2号、第3号若しくは第6号又は第3号各号のいずれかに該当するときは、次の各号に掲げる書類に生徒の学業成績証明書(第1学年第1学期の生徒については、中学校の学業成績書の写し)を添えて、沖縄県教育委員会に提出しなければならない。
(1)授業料減免承認申請書(第3号様式)
(2)授業料減免調書(第4号様式)

3 前2項の授業料の免除又は減免の申請手続きは、原則として、毎年度学年始めに教育委員会が定める日までに行うものとする。

4 前項の規定によるほか、年度の途中において授業料の免除又は減額の必要のある場合は、そのつど、第1項及び第2項による手続きをしなければならない。

(免除、減額又は徴収の猶予の期間)

第9条 授業料の免除又は減額の期間は、当該学年限りとし、徴収の猶予の期間は、3月を超えないものとする。ただし、留学の場合は、この限りではない。

2013年8月10日土曜日

アーカイブ① 沖縄県立高等学校の修学のために必要な費用

沖縄県立高等学校の修学のために必要な費用(概算)

沖縄県高等学校障がい児学校教職員組合資料(2010年)より

 まだ、授業料が月額9,900円徴収されていた頃、高教組が調査し2010年に報告した資料が見つかったので、資料として載せておきます。
 授業料の負担、118,800円(年額)がなくなった今も、一年生で87,826円から113,836円の負担があります。学校によっては卒業生から制服を提供してもらい、必要としている在学生に提供することで少しでも校納金の負担をやわらげる工夫をしているところもあるようです。

2013年8月8日木曜日

子どもの貧困対策法のポイント

 今日は、ガイドブックの内容確認等について支援をいただいたことについてのお礼状と、那覇市内の小中学校全学級分のガイドブックを携えて那覇市教育委員会を訪問、各学校のボックスに配ってきました。

また、那覇市内の学童クラブ44事業所に5部ずつ、沖縄県総合福祉センター内ボランティアセンターに50部配ってきました。希望の方は、ボランティアセンターでお受け取り下さい。


子どもの貧困対策法の骨子です。
子どもの貧困率やひとり親世帯等の貧困率を3年ごとに調査し、公表することや高校、大学の進学率や中退率、小中学生、高校生の不登校率などを毎年調査・公表することなどにより、子どもの貧困の状況を把握する。また、国や都道府県が子どもの貧困対策計画を策定し支援策を検討することなどが定められています。

2013年7月9日火曜日

発達臨床研修セミナーのご案内

もう一件、比嘉さんから紹介がありましたので、紹介します。
これも、かなりオススメです。

発達臨床セミナー「発達的視点を踏まえた学習指導の進め方」

1 日時:2013年8月10日(土)、10時から16時
2 場所:沖縄県総合福祉センター(那覇市首里石嶺町4-373-1)
3 定員:100名
4 締め切り:7月31日(水)(定員になり次第締め切り)
5 資料代:1000円
6 プログラム
 
  • 9時30分 受付
  • 10時から11時30分 講演:「感覚と運動の高次化理論の概要」~8つの発達水準の特徴と具体的学習活動~ 講師:川口真理子(淑徳大学発達臨床センター)
  • 13時から14時 実践報告:「教育現場での活用方法について」~評価方法、教材の活用システム、教材の工夫ポイント~ 講師:高橋浩(奈良県立奈良養護学校)
  • 14時~15時30分 事例報告:「終点の理解から弁別へのつながり」~スライディング・ボードを使った学習からの展開~ 講師:野口明紀(鳥取県立皆生養護学校)
7 問い合わせ先:瀬長忍 senagash@open.ed.jp

教材工夫展のお知らせ

実行委員会メンバーの比嘉さんから、研修会の紹介がありましたので、ここで紹介します。
障がいのある子どもたちのための教材の実物が見られる、というだけでも一見の価値がある研修会です。

第20回障害児基礎教育研究会 教材工夫展~発達支援と教材教具~

1 日時:2013年8月24日(土)9時30分から16時30分

2 場所:沖縄国際大学 5号館(宜野湾市宜野湾2-6-1)

3 内容:
(1)創作教材の展示(製作・活用相談) 9時30分~13時
(2)教材教具の作り方活用方法の紹介 ①10時30分~12時、②13時10分~13時50分
(3)実践報告 13時50分~14時50分
「教材教具は、言葉の代わり」
根本文雄(国立筑波大学付属大塚特別支援学校教諭)
(4)講演 15時~16時30分
「発達支援と教材教具~子どもに学ぶ学習の系統性~」
立松英子(東京福祉大学・大学院教授)
  
4 資料代:1000円

5 その他
(1)事前の連絡は不要です。
(2)保育設備は合いませんが、お子様連れの教材展示見学は歓迎いたします。

浦添市社会福祉協議会の浦西中学校地区福祉保健センターに行ってきました。

 第7回の学習会の案内をもって、浦西中学校地区福祉保健センターにお邪魔してきました。
浦添市社会福祉協議会では、市内の5つの中学校区域に職員を配置し、地区福祉保健センター事業を行っています。
 コミュニティーソーシャルワークという、この事業について、浦添市社会福祉協議会のホームページを見ると、下記のように説明されていました。

 地域の福祉ニーズに対応して、多様な公私の福祉サービスや福祉活動(インフォーマルなサービスや活動を含む)と保健、医療、教育、交通、住宅、就労等のあらゆる生活関連分野の活動が連携し、身近な地域で総合的且つ効果的に展開される支援体制を整備すること。

 浦西中学校地区福祉保健センターの赤嶺さんと安次嶺さんにお話しを伺うと、地域の方が来所して、それこそ近所のゴミ出しの苦情から、深刻なケースの相談までと、幅広く地域のニーズに合わせた相談を受け、支援を行っているそうです。

 浦添市社会福祉協議会の事業の特徴は、中学校との関係づくりをしてることです。
このように地域の人や家族をつなぐとともに、地域と学校をつなぐ機能をもつ地区福祉保健センター事業のこれからの展開に期待したいと思います。

 学習会に参加して、取り組みを具体的にお話しただきたいですね。

第7回九州沖縄地区子ども支援ネットワーク交流学習会の開催日が12月になりました。

 10月26日に全国肢体不自由児者父母の会連合会の全国大会が10月26日、27日に開催されるため、九州沖縄間の飛行機の席が取れないことが判明。急遽開催日を12月7日土曜日に変更しましたので、お知らせします。

7回九州沖縄地区子ども支援ネットワーク交流学習会について

1 ねらい

 『おきなわ子ども支援ガイドブック』活用を具体化するために、お互いの取り組みを知るところから各組織がつながり、ネットワークによるチームワークの取り組みのひろがりをめざします。

(1)ガイドブックの活用例を提示します。

(2)学習会の内容として、ひとの育ちのなかで、抱え込まされる困難な場面をいくつかの「ケース事例」として想定します。その困難について課題を整理し、各組織から課題克服のために「できること」を出し合うことで、ネットワークによるチームワークの取り組みの具体的なイメージを共有します。

(3) 「ケース事例」の設定にあたっては、子どもの実態について把握するとき、家族が抱えこまされている問題との関連なども考慮することが課題を整理し、課題克服の取り組みをさらにすすめるという考え方に基づいて設定します。

(4)その考え方を活かすために、子どもの育ちと学びにかかわる組織、子育てや親支援にかかわる組織、高齢者支援にかかわる組織に学習会の参画や参加をお願いします。

2 内容について

(1)期日 2013年12月7日()

(2)場所 沖縄大学 三号館 1階 講堂

(3)日程


  9:30    10:00     10:15                    12:00  13:00                  16:00
受付
開会行事
基調提起と
ワークショップ1
昼食
ワークショップ2
ワークショップ3



(4)基調提起について

 沖縄において、それぞれの組織が把握している子どもの育ちと学びが阻害されている実態を集約し、課題や取り組みの方向性を共有することをめざします。九州各県における実態や課題、取り組みの方向性とあわせて論議することで、共通性と地域性を明らかにしたいと考えます。具体的には、これまで報告された取り組み等から子どもの育ちと学びにかかわる課題を整理し、取り組み方向性について、文章化し、基調として提起します。

(5)展開のイメージ





・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

各団体へお願いしたいこと

本学習会の趣旨をご理解いただき、参画、あるいは参加を可能な限りお願いします。

1 10/26(土)の第7回九州沖縄地区子ども支援ネットワーク交流学習会への参画、参加をお願いします。
(1) 学習会当日に会場で、貴組織の活動紹介をお願いします。会場にブース(長机2~3個をあわせたスペース)を準備します。学習会の参加者に対して貴組織の取り組みを紹介する資料や展示をお願いします。ブースには、活動を紹介できる方が複数名常駐できるよう参加態勢をお願いします。
(2)学習会のなかで、ワークショップの時間を設定し、ひとの育ちのなかで抱え込まされる困難な場面を想定し、ケース事例として提示し、課題を整理します。その際、貴組織が課題克服のためにできることやできる可能性があることについては、5分以内で積極的に発言してください。
(3)ワークショップ後、交流の時間を設定します。取り組みの重なり等、興味関心を持った他の組織があれば、積極的に交流してください。
(4)学習会のおわりまでに所定の用紙(A41枚程度)に以下のことを盛り込んだ感想を書いて提出をお願いします。

①どんなひとや組織と知り合うことができましたか?
②知り合ったひとや組織とチームワークで取り組むことができそうなことがありましたか?
③この学習会に参画、あるいは参加しての感想をお願いします。

2 事前打ち合わせ会に参加をお願いします。
(1)日時 8月下旬or 9月上旬
(2)場所 沖縄大学
(3)参加態勢
各組織から実務にかかわる方の参加を1名以上お願いします。

2013年7月7日日曜日

おきなわ子ども支援ガイドブック2013年那覇版

 7月5日、「でいご印刷」にデータを入稿してきました。

 発行部数4000部、A4版39ページ、白黒。表紙は上質紙で色はコスモスに決定。
事務所で、さっそくデータを見ながら打ち合わせ。
グレーの濃度を10%ずつ上げることなどを確認。いつもお世話になっている担当のTさん、よろしくお願いします。

 一週間後に、校正用のプリントが送られてくるそうで、その後印刷。うまくいくと、夏休みの頭くらいには、各学校等に配布できそうです。