2014年10月5日日曜日

高等学校等就学支援金制度の課題

1 関係者の懸念が解決しないままスタートした制度

 全国知事会など関係者が懸念するなかスタートした「高等学校等就学支援金」制度。今年4月に入学した高校生とその保護者は、4月と7月にある申請を行ってはじめて高校授業料の無償化の恩恵を得ることができます。
 その申請とは、学校から配布される申請書と確約書に加えて、市町村民税の所得割額を示す課税証明書を提出することです。一見容易な手続きに思われるこの申請も世帯の状況によっては非常に困難な場合があります。

2 沖縄の高校生の生活を取り巻く課題が顕在化し、さらに生徒本人や家庭を追い詰めている事例

 沖縄の高校生の中には、保護者が離婚しひとり親家庭で育っているケースが少なくありませんが、その中には別居はしているもののさまざまな事情により、離婚届けを出していない例があります。また、保護者が離婚し、そのどちらも他県に転居して、子どもの世話を祖父母がしている場合などがあります。
 離婚届を出していない世帯の場合、申請のためには子どもの親権者である父親と母親、両方の課税証明書が必要となります。しかし子どもと同居していない父親が課税証明書の送付を拒みつづけているため、書類不備となり授業料を負担しなければならない事例が出てきました。
 母親の収入が不安定であったり、余裕がない場合、高校授業料の支払いが困難になり、結果的に高校生が退学させられる可能性があります。

3 養育を行っていないのにもかかわらず金銭を要求する事例

 次に、生活保護や市町村民税非課税の世帯には、「奨学のための給付金」という給付型の奨学金が支給されます。「高等学校等就学支援金」が、生徒本人にかわり学校が受け取るのと違い、この給付金は、保護者の口座に現金が振り込まれます。世帯の経済状況や子どもの人数により、3万円から12万円の範囲で支給されます。
 祖父母が高校生の養育を担っている事例では、他県に転居している保護者が、その受け取りを祖父母の口座とすることに同意すれば給付金は高校生の修学や生活を支えている祖父母の負担を減らすことになるでしょう。しかし、保護者のなかには、給付金の振込みを自らの口座に要求する事例が出ています。高校生の修学の支援と進路保障という制度の趣旨にそぐわない状況が生まれています。

4 次年度以降も続く制度に対して、高校生とその家族の現状に合わせた運用を

 次年度に向けては、中学校3年生の段階で、保護者向けに資料を配布し周知を図ることが必要だと思います。その際に、今年度明らかになった課題として、名称について保護者が戸惑うことがないように、似通った制度や紛らわしい名称については、比較し学校側と保護者の側が一致できるように整理がなされた資料が必要です。このブログにも載せた九州の資料は、参考になると思います。
 多様化した家庭のあり方のなかには時として、制度の枠組みからこぼれ落ちる事情を含んでいる場合があります。個々の生徒や家庭に直接向き合い、さまざまな事例に関わっている学校現場と制度の実施に携わる方が互いに制約の中でできることを共に考え、実行していくことが必要です。今年の経験知を活かし、例えば他県に転居し子どもに連絡をとらない親権者については、4月の申請時に連絡が取れないと記載するなど、その後の申請が適切に行われる可能性のある選択肢を考えていく必要があります。

5 九州の取り組みを参考に

 11月29日に行われる第8回九州・沖縄地区子ども支援ネットワーク交流学習会では、沖縄県と九州の現状報告と取り組みが紹介されます。互いの実践を交流し、参加者が現在、関わっている事例や家庭に対応する手立てのヒントが見つかる研修になると思います。

6 九州の学校現場で起こっていることをリップルが紹介しています。

 この文字列をクリックすると139号のPDFファイルを開くことができます。

 この文字列をクリックすると140号のPDFファイルを開くことができます。







7 紛らわしい名称の制度をわかりやすく整理したリップルを紹介します。

  この文字列をクリックするとPDF版を開くことができます。



 
 

 

2014年9月27日土曜日

第8回九州沖縄地区子ども支援ネットワーク交流学習会のチラシが届きました。

 第8回九州沖縄地区子ども支援ネットワーク交流学習会のチラシが完成しました。
2014年11月29日土曜日 沖縄大学同窓会館にて行われます。参加費1000円です。
みなさんのご参加をお待ちしています。
PDFをファイルをご希望の方はこの文字をクリックしてください。




2014年9月21日日曜日

沖縄子ども支援ガイドブック南部版試作の公開

 足掛け1年かかった南部版の編集もほぼ終わり、内容の点検をする前の試作版が完成しました。誤字、脱字、問い合わせ先のチェック、目次のページチェックなどがこれからの作業になります。
9月21日に公開した後、何度か書き直して現在ダウンロードできるファイルは9月27日に修正した最新版です。
 グーグルドライブに保存したファイルを共有する形にしています。ファイルを開けない、ダウンロードできないといった不具合があればコメントに書いてください。また、ガイドブックの中でどのページが役に立ちそうか、新たに掲載してほしい内容等がありましたらコメントください。


2014年8月26日火曜日

仕事のルールを知ろう

 これも今回新たに加えたページです。
 高校の進路指導の教師によると、バイト代を時給に換算すると沖縄県の最低賃金を下回っているのを知らず、そのバイト先にそのまま就職したいと考えている高校生がいるそうです。
 最低賃金や、給料が最低賃金を下回ってはいけない、という基礎知識をもたない状態が浮かび上がってきます。学校では、本人に賃金を働いている時間で割って見せたり、最低賃金について話して、よく考えるように指導しているそうです。
 今回、NHKの「オトナへのトビラ」や今野晴貴著「ブラック企業 日本を食いつぶす妖怪」を参考に作成しました。


2014年8月24日日曜日

保育所に入れたいとき


 ガイドブック更新の準備中です。今回新たにページに加える、保育所の入所の手続きを説明するページを紹介します。

 さて、子ども・子育て支援制度が来年からスタートし、それにあわせて、保育所の入所の手続きが変わります。新たに加わったのは下の図にある「保育の必要性の認定の申請」です。現在入所している子どもについても、この「認定」を受けなければならないようです。

 今回の制度の問題点は、親の就労時間によって、子どもが受けられる保育時間が8時間と11時間に分けられることです。8時間の子どもが、ほかの子どもと同じように11時間の保育を受けたい場合は、「延長保育」の扱いになり延長した時間の費用負担が生じます。

 「教育」については、親の就労時間に合わせて子どもが教育を受ける時間が変わることは、まずありません。なのに「保育」では、それが許されるというのは違和感があります。