2014年8月24日日曜日

高校進学にかかる費用と負担が難しい家庭の生徒に対する奨学金や福祉の制度

 ガイドブック更新のために原稿を作成中です。
「高校進学にかかる費用と・・・」は従来の記事に、高等学校等就学支援金の申請に関するスケジュールを書き加えました。
しかし、「市町村民税・県民税特別徴収額決定通知書」「納税通知書」のコピーを提出することについて取扱いが変わるかもしれないそうです。

 つまり、親権者の市町村民税所得割額を証明する書類は、課税証明書に一本化される見通しです。その理由は、市町村の中に、「市町村民税・県民税特別徴収額決定通知書」「納税通知書」に発行した市町村名が記載されていないものがあり、証明する書類として効力がないと県が判断しそうなのです。

 福岡県のある市町村には「納税通知書」等に、わざわざ「この書類は、高等学校等就学支援金の申請に必要です。大切にとっておいてください。」という趣旨の文章を添えているところもあるのに、残念です。


2014年7月19日土曜日

「奨学のための給付金」を受けると生活保護費が減らされる?

 以下は福岡県高等学校人権・同和教育研究協議会が発行する機関誌「RIPPLE」の記事をもとにした文章です。

 今年から、全ての保護者(親権者)が市町村民税所得割額を課税されていない世帯、生活保護を受けている世帯の高校生に対し、支給されることになった「奨学のための給付金」。もちろん「高等学校等就学支援金」のように申請をしなければなりませんが・・・・。
 例えば生活保護の世帯で公立高校に通っている高校生の場合、年額32,300円が支給されます。
 ところが、福岡県で「奨学のための給付金」が所得にあたるとして、ケースワーカー等から、申請すると生活保護費が減額される、という説明を受けたり、減額されるから「奨学のための給付金」の申請をしない方がよいと説明を受けた保護者がいたそうです。

 相談を受けて、福岡県高等学校人権・同和教育研究協議会が厚生労働省に問い合わせた結果、「奨学のための給付金」は生活保護費における収入にはあたらない。ということが確認できたそうです。

 厚生労働省社会・援護局保護課保護係長からの平成26年7月11日付事務連絡『奨学のための給付金(高校生等奨学給付金)』に係る収入認定の取扱いについて」という文書には「奨学のための給付金が高等学校等での就学に当てられる場合に、・・・生活保護費における収入認定から除外すること」と書かれています。

「奨学のための給付金」は生活保護において収入認定されることはありませんので、安心して申請して下さい。

2014年6月22日日曜日

九州沖縄地区子ども支援ネットワーク交流学習会の戦略会議

 第8回目となる今年の九州・沖縄地区子ども支援ネットワーク交流学習会等についての話し合いが、6月22日日曜日教育福祉会館で行われました。

1 交流学習会について

第8回九州・沖縄地区子ども支援ネットワーク交流学習会の日程は下記のとおりです。

日時:2014年11月29日土曜日
会場:沖縄大学 同窓生会館

 さて、学習会に深く関わってきた子ども研究会が、発展的解消に向けて歩み出しました。
前日6月21日に沖縄大学で開かれた子ども研究会の総会では、今後、運営委員を中心に、これからの組織のあり方を検討していくという方針が決まりました。
しかし今年度いっぱいは、子ども研究会として、学習会および実行委員会に関わることになりました。

 戦略会議では、子ども研究会の動向を確認して、今後の交流学習会のあり方について意見交換を行いました。

2 ガイドブック南部版について

 進行中のおきなわ子ども支援ガイドブック南部版(以下、南部版と表記)の進捗状況と今後の取り組みについても話し合いました。

 現在、南部版は、糸満市、南城市、八重瀬町については、母子福祉担当課や教育委員会の協力を得て、資料提供や掲載内容の助言を頂いているところがあります。
しかし、残り南風原町、与那原町、豊見城市についてはまだ具体的な協力が得られていないのが現状です。

 戦略会議では、引き続き残りの市町村に協力をお願いしながら、編集作業を進めていくことになりました。
また、今後各市町村単位で担当窓口や母子福祉等に携わっている関係者が集まり、ガイドブックの内容や印刷部数、配布の方法について話し合う場を設定することを模索することが確認されました。

3 高等学校等就学支援金給付制度について

 7月の申請に向けて県立高校が準備をすすめる中、さまざまな課題が浮き彫りになってきています。
DVを受けている親、それにより別居している世帯の窮状。ひとり親世帯が多いこととその支援が十分でないこと。労働条件や税務申告にルーズな企業が少なくないこと、など沖縄の社会が抱える歪みが、子どもや家族を苦しめ、さらに追い打ちをかけるように就学支援金給付制度の課題が重くのしかかっているという現状がこれから少しずつ明らかになってくることでしょう。

糸満市 1980年


働く人の権利を伝えること

 ある高校の進路指導担当の教師に会いに、地元の企業の社長さんが来校。
なんでも、その高校の生徒を採用したいとのこと。
その進路指導の教師が社長さんにハローワーク通して下さいとお願いすると、ハローワーク出しても認めてもらえないから直接来たんだそうです。ようするに違法な雇用条件の会社ってことです。
話したって無駄だと思ったその教師は、丁重に対応した後、受け取った募集の紙をゴミ箱送りに。
 しかし、僕ら教師が労働条件や労働者の権利に疎いのをいいことに、働けるだけ幸せと考えている高校生を使い捨てにしている企業が後を絶たないようです。



NHKの「オトナのトビラ」では高校生を対象に労働者の権利について紹介しています。


今作成中のガイドブックにも、労働者の権利やトラブルにあった時の相談窓口について掲載することになりました。
伊平屋島 1980年

2014年6月8日日曜日

収入格差が露呈する恐れ


 かつて高等学校で授業料が、原則全ての保護者から徴収されていた頃、授業料の自動引き落としのシステムがありましたが、現在は存在していません。
 そのため、新しい制度の下で授業料をお納めなければならない世帯は、徴収袋を使って学校に現金を納めなくてはなりません。一見あたりまえのことのように思えますが、事態は単純ではありません。高校生が、学校のなかでお互いの保護者の所得の格差に直面するという事態が起こりうることが懸念されるからです。
 沖縄タイムスの記事も、そこに視点をおいてこの制度のもつ課題を提起しています。
県内の高校では、徴収袋をさらにもう一枚の袋にいれて配布するなど、精一杯の配慮をしています。また県は自動引き落とし等、授業料支払いのシステムの準備をしているそうです。システムが整うまでの間、払う生徒と払わない生徒に分かれる現実と、高校生がその背景を突きつけられるという場面は、なくならないでしょう。
 
 


2014年5月29日木曜日

「新・沖縄の子ども、親たち・家庭、社会が抱え込まされている課題」をアップしました。

5月29日の沖縄タイムスに、労働基準法などの働く人たち権利を守る法令を守らないで働かせている事業所の実態についての記事がありました。
 県内788事業所(4のみ511事業所)を対象にした調査には、県内の厳しい雇用環境が浮かび上がってきます。
  1. 年休制度がない 約2割(158事業所)
  2. 育児休業制度を就業規則等で定めていない 約3割(239事業所)
  3. 介護休業制度を就業規則等で定めていない 約4割(340事業所)
  4. パートに育児介護休業制度を適用させない    約5割(252事業所)
  5. セクハラ対策に取り組んでない 約6割(457事業所)

 子育てやお年寄りの介護といった、働きながら家族を養い生活を営んでいくための最低限の条件が整えられていない状況が明らかになっています。
 経営している方たちには、事業を維持し雇用を保障するといった経営者としての責任があるでしょう。しかし、上記のような働かせ方をしている限り、子育てや教育といったことが等閑になり、結果的に沖縄を持続可能な社会として成り立たせていく前提が失われた状態が続くことになります。
そのことは、長期的な視点に立てば、経営を脅かす要因となる可能性があります。
 
 昨年12月に作成した、「沖縄の子どもたち、親たち・家庭、社会が抱え込まされている課題」に、上記の状況等を書き込んだ新しいバージョンを作成しました。

画像の下の文字をクリックするとダウンロードできます。




 

2014年5月17日土曜日

高等学校等就学支援金の7月手続きQ&A(保護者向け)

https://drive.google.com/file/d/0B-IE7ksDeEmpelJIdDN0N2lKdzQ/edit?usp=sharing

 「まだまだ続く、高等学校等就学支援金制度の手続き」で一部紹介した福岡県高等学校人権・同和教育研究協議会作成の資料「RIPPLE」が届きました。
画像にPDFのリンクをかけていますので、ご利用下さい。

内容は、以下のとおりです。

1  就学支援金の申し込みは、4月の手続きで済んだのですね。

いいえ、7月にもう一度手続きをしなければなりません。

2  えっ? またするのですか?今度は何を出すのですか?

「4月手続き」で申し込みが認められた人は、次の二つを学校に出してください。
①届出書(これは学校から配布される予定です)
②保護者の所得割額を示す書類

3  所得割額の書類は、4月に出していますよね。

「4月手続き」のものは、一昨年度の所得割額の書類です。
「7月手続き」では、昨年度の所得割額の書類がいります。

4  昨年度の所得割額の書類って?

今年の5、6月に役所から送られてくる「税額決定通知書・納税通知書」です。

5  それをどうしたらいいのですか?

それを学校に出してください。
ですから、「税額決定通知書・納税通知書」は失くさないようにしてください。

6  収入のないところは、なにもしなくてもいいんでしょう?

いいえ、必ず、収入がない(無収入)ということを、役所の窓口(納税課など)に申告をしてください。そして、「無収入」であるという証明書を、出してもらい、それを学校に出してください。
(窓口や証明書の名称は、市町村によって違いますので、役所の「総合案内」でおたずねください。)

7  4月に申し込んで、認められなかった人は、もうダメなんでしょう?

所得割額の確認をしてください。家庭の状況により、所得が一昨年度より減っていれば、認められる可能性もあります。

8  その時は、どうしたらいいんですか?

次の二つを学校に出してください。
①申請書(これは学校から配布される予定です)
②保護者の所得割額を示す書類(「税額決定通知書・納税通知書等)

9  すると、4月に認められた人も、出ない可能性があるのですか?

はい、家庭の状況により、所得が一昨年度より増えていれば、認められない可能性もあります。ですから、必ず所得割額の確認をしてください。

10  4月の手続きを忘れたり、申し込みをしていなかった人は、7月の手続きで間に合いますか?

はい、次の二つを学校に出してください。
①申請書(これは学校から配布される予定です)
②保護者の所得割額を示す書類(「税額決定通知書・納税通知書等)
ただし、認められても、支援金の支払いは7月分からになります。

11  7月の手続きをして、認められれば、あとは何もしなくていいのですか?

とりあえず、来年の6月までの支援金は出ますが、それ以降の支援金については、また、来年7月に手続きが必要です。

12  就学支援金を申し込んで、認められなかったけれど、その後、失業などで、急に経済的に厳しくなった時は、どうすればいいのですか?

就学支援金の代わりに、「授業料免除(払わなくていい)」という制度があります。申し込みの受け付けはいつでもできます、詳しいことは、学校にお尋ねください。ただし、認められて「免除」が始まるのは、申し込んだ月の次の月からです。

<「給付金」について>

13  「給付金」というのもあるのですか?

はい、今のところ「非課税世帯」(保護者の所得割額が0円)を対象に、授業料以外の教育費の負担を減らすために出される予定です。

14  それは、いくらぐらいでるのですか?どうすればいいのですか?

手続き、金額等については、まだ、明らかにされていません。明らかになり次第、お知らせします。

15  「給付金」は返さなければいけないのですか?

いいえ、「給付金」も「就学支援金」も、返す必要はありません。

16  「給付金」と「就学支援金」は両方、受けることはできるのですか?

はい、「非課税所帯」であれば、受けることができます。

<いろいろな利用できる制度があります>

17  中学校の時、「就学援助」を受けられなかったので「就学支援金」はだめですよね?

いいえ、大丈夫です。「就学援助」は小学校・中学校まで、「就学支援金」は高校に入ってからの制度です。基準も違いますから、申し込みをしてください。

18  「就学支援金」と「奨学金」はどう違うのですか?

まったく別の制度ですので、両方とも利用できます。
「就学支援金」は、返す必要がありません。
「福岡県奨学金」※は、貸与ですから、返さなければなりません。
また、他の奨学金は、「貸与(返さなければならない)」型と「給付(返さなくてもいい)」型があります。詳しくは学校にお尋ねください。

19  「福岡県奨学金」※と「日本学生支援機構奨学金」はどう違うのですか?

福岡県奨学金は、高校生が対象です。
学生支援機構の奨学金は、大学や短大、専門学校等に進学する生徒が対象です。

※沖縄の場合は、「高校育英貸与奨学金」が相当します。詳しくは、沖縄県国際交流・人材育成財団(TEL:098-942-9213)まで

20  「就学支援金」の申し込みをしていれば、「給付金」や「奨学金」の申し込みはしなくていいのですか?

いいえ、全く別です。ですから、それぞれ申し込みをしなければなりません。
出す書類等については、これからはっきりしますので、わかり次第連絡します。



◎6、7月にしなければいけないことをまとめてみると

①「就学支援金」の申し込み
届出書(または申請書)と保護者の所得割額を示す書類(「税額決定通知書・納税通知書等)を学校へ提出(7月上旬締め切り)

②「給付金」の申し込み
詳しいことは、まだわかっていません。

③「県奨学金」の書類の提出
予約募集借用証書配布(5月中旬) 提出(6月上旬締め切り)
在学募集借用証書配布(6月中旬) 提出(7月上旬締め切り)
*大学、短大、専門学校進学を希望する3年生のお子さんがいる場合
日本学生支援機構奨学金の書類の提出
関係書類入力(5月〜) 提出(7月上旬締め切り)

来間島 1980年